PET検査のしくみ
PETとは、陽電子放射断層撮影(Positron EmissionTomography)の略称で、ブドウ糖を多量に摂取するがん細胞の特性を利用する検査です。CTやMRIなどが臓器の形から異常を見つけるのに対し、PETは細胞の活動の様子から異常を発見します。検査方法は、ブドウ糖によく似たFDGという検査薬剤を体内に注射し、全身に行き渡らせます。がんはブドウ糖を取り込むという性質があるため、FDGの集まり具合をPETカメラで画像化することで、がんの有無や位置、大きさを調べることができます。
①がん細胞は正常細胞に比べて、たくさんのブドウ糖を取り入れる特性があります。
②ブドウ糖に似た成分に放射性物質を組み合わせた薬剤(FDG)を注射します。
③PETカメラで撮影するとがん細胞のある箇所が光って映し出されます。
PETの優れているところ
PET検査には大きなメリットがあります。まず、全身を一度に撮影するので、「がん」の転移や再発を検索するのに役立ちます。また、着衣のまま横になるだけですから苦痛がほとんどありません。CTやMRIが病巣の形状を検査するのに対し、PETは病巣の機能を検査します。良悪性の鑑別や、「がん」の悪性度・進展度を測ることができます。
治療前の画像
矢印で指し示している部分が腫瘍(癌)です。
治療後の画像
腫瘍(癌)がきれいになくなっています。
PET/CT検査の限界
PET/CT検査も万能ではありません。以下のケースで、偽陰性や偽陽性が発生することがあります。
小さな乳がんを見つけるための
マンモPET
マンモPET(Elmammo)とは、乳房撮影に特化したPET装置です。
乳がん撮影に特化することで、より解像度を高め、より小さな組織を調べることができます。
寝台にうつ伏せになり乳房をホールにセットするだけでOKです。痛みがなく検査を心地よく行えます。
マンモPETの詳細(Elmammo 島津製作所ウェブサイト)
マンモPETの優れているところ
乳房に特化したPET装置であり、
従来の検査では見つけることの難しかったごく小さな乳がんを見つけることができます。
50歳女性[マンモPET健診例]
非浸潤性乳管癌(右)
毎年マンモグラフィー・超音波で乳がん健診を受けていたが
異常は指摘されなかった。
マンモPETで
小さな乳がんが発見された。
高濃度乳腺もカバー
話題の高濃度乳房(デンスブレスト)は、従来のマンモグラフィ検査では全体が真白く写ってしまって乳癌などの評価ができません。
PET検査は乳房の濃度に関係なく病変をしっかり描出できます。
40歳女性[保険診療例]
右浸潤性乳管癌(右)
高濃度乳腺のため、マンモグラフィー(左写真)では不明瞭。
マンモPET(右写真)では腫瘍のまわりの小さながん病変も
明瞭に描出されている。
短い撮影時間
マンモPETの撮影時間は片方5分、
両乳房で約10分です。
薬剤投与後の待機時間を含めると、
ご来院からお帰りまでは約2時間です。
マンモPET検査
の限界
マンモPET検査も万能ではありません。すべての部位を見つけられるわけではありません。
PET検査の特性上、以下の場合や部位は、発見・判定が困難であるといわれています。